急性骨髄性白血病との闘い(2) 入院・治療

入院・治療

 

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治療方法

私は急性骨髄性白血病M4と診断され、数種類の抗がん剤を投与する化学療法を受けることになりました。白血病が発病したときの記事は急性骨髄性白血病との闘い(1) 発病 - peitanyan’s diaryをご覧ください。

 

私の急性骨髄性白血病の治療ではこの化学療法を複数回行って治癒を目指すことになりました。まず、第1の目標は化学療法による抗がん剤投与により寛解という状態にすることでした。この化学療法を寛解導入法といいます。

 

寛解とは骨髄中の白血病細胞が全体の5%以下となり、白血病の症状が現れない状態をいいます。この寛解の状態がずっと続けば問題はないのですが、そのまま放置してしまうとすぐに白血病を再発してしまいます。

 

そこで白血病の再発のリスクを下げるため、地固め療法という化学療法を行います。地固め療法とは、まだ体内に残存している白血病細胞を殺すために抗がん剤を投与する治療法です。私の場合はこの地固め療法を3回繰り返して治療しました。

 

1回の化学療法に要する治療期間は約1ヶ月となります。まず約1週間かけて抗がん剤を体内に投与します。投与後、数日で白血球の数が減少し免疫力が下がるためウイルスや細菌に感染しないように準無菌室に入ります。

 

準無菌室には移動式の大型空気清浄機が設置されており、室内は常に清潔な空気に保たれています。白血球が一定の数まで増加するまでは準無菌室の中で生活することになります。増加するまでの期間が約3週間となります。

 

私の場合は化学療法を計4回行ったので外泊も含めて入院してから退院するまでに約4ヶ月半の期間を要しました。その後は維持療法を1年間かけて行ったですが、この話については急性骨髄性白血病との闘い(3) 再発 - peitanyan’s diaryに記したいと思います。

 

 

治療結果

私は幸いなことに寛解導入法で寛解の状態にすることができました。地固め療法も順調に進めることができ、抗がん剤による合併症を起こすこともなく治療を終えることができました。

 

私は4月に入院して8月に退院することができました。しかし、この期間学校を休んでしまったため出席日数が足りなくなり留年が決まってしまいました。高校を辞めるか続けるか悩みましたが、3年生であったことや高校の担任の先生の後押しもあり高校を続けることにしました。

 

 

入院生活の中で辛かったこと

 

抗がん剤の副作用

私が入院生活で一番印象に残っているのは最初に行った寛解導入時の化学療法になります。その化学療法で初めて抗がん剤を使用したときの副作用のつらさが今でも忘れられません。

 

化学療法ではガン化した白血病細胞を殺すことができますが、正常な細胞も殺してしまうので高熱がでたり、髪の毛が抜けるという副作用が生じました。他にも食欲不振、吐き気が生じて2、3日間何も食べられない時もありました。

 

中でも自分自身の髪の毛が抜け落ちたときはショックでした。「自分はガン患者なんだなぁ」と改めて実感する瞬間でした。「なんで自分がこんな目に合なければならないのか」と苛立ったり悲しくなったりとどうしようもない気持ちになりました。

 

食事

次は食事についてです。化学療法で白血球の数が減っているときは体の免疫力が下がっているので、生ものを食べることが出来ませんでした。なので、加熱したものしか食べることができません。

 

病院の食事にはさらに雑菌が入らないように全てのお皿にラップがかかっていました。なので、この病院食はラップ食と呼ばれていました。私はこのラップ食がとても嫌いでした。

 

化学療法を受けているときは副作用で舌の味覚が弱くなります。それに加えてラップ食はとても薄味なので食べても何の味もしないのです。なので、私は

味の濃いカップラーメンをよく食べていました。他にも母親に唐揚げやチャーハンを作ってもらい食べていました。

 

ラップ食が嫌いだった理由としてメニューのバリエーションが少なかったことも理由の一つです。しかし、現在では食事の制限が緩くなり食事のバリエーションも広がってきたと治療中にお世話になった看護師さんが話していました。

 

骨髄穿刺

白血病の診断をするときは骨髄穿刺という検査を行います。入院中も1回の化学療法が終了して白血病の数が増加する度に骨髄穿刺を行います。増加した白血球が白血病細胞ではなく、正常なものであることを確認するためです。

 

この検査は独特の痛みを伴うため、私はとても苦手でした。医師の先生から「明日、骨髄穿刺の検査しようね。」と告げられると、私はその夜検査に対する不安で眠れなくなるぐらいでした。この不安は上記の痛みの不安もありましたが、白血病が再発しているかもしれないという不安もありました

 

しかし、検査が終わって主治医から何の異常もない事を聞いたときは、その不安は一瞬に消え去り、安堵して主治医や家族と一緒に喜んだことを今でも覚えています。

 

 

入院生活で役立ったもの

ウエットティッシュ

白血病の治療中に注意しなければならないことは、細菌やウイルスに感染しないことです。そのため、身の回りを清潔に保つことが重要でした。私は何か物を触ったりしたら必ずウエットティッシュで手を拭くようにしていました。

 

白血病の治療中は免疫力が下がるため、細菌やウイルスの感染により熱が出やすい状態になります。私の場合、高熱が出てうなされているときは氷を口に含ませるだけで気持ちが楽になりました。

 

携帯ゲーム機、マンガ

抗がん剤投与後、白血球の値が下がり上がってくるのを待つ期間はどうしても暇になる時があります。免疫力が低い状態であるため、準無菌室から出ることができず患者同士で話をすることもできません。

そのようなとき、携帯ゲーム機やマンガはストレスを一時的に解消してくれました。

 

 

入院中の支え

入院した日の翌日の朝に窓を眺めると学生達が歩いて登校していました。それを見て私は「昨日まで自分も普通の高校生だったのになぁ。」と病気になってしまった現実とのギャップを大きく感じていました。なかなか現実を受け入れることが出来ない状態が入院当初ありました。

 

そんな中、看護師さん達が度々訪ねてきて「何か話したいことある?」「今悩んでることある?」と話しかけてくれました。私は頭の中でモヤモヤしていた事を看護師さんとの会話の中で吐き出すことができました。この看護師さん達との会話が入院中の苦痛を和らげてくれたと思っています。